リニアスケールとは?仕組み・種類・精度と「変位計との違い」を図解で解説

比較・違い

「工作機械のカタログでよく見る『リニアスケール』、変位計やエンコーダと何が違うのかよくわからない」。リニアスケールは、機械の可動部が『今どこにいるか』を高精度に測るセンサで、位置決め精度を左右する重要な部品です。本記事では、仕組みから2つの検出方式、精度・用途、そして混同されやすい「変位計との違い」までを、メーカー技術資料の裏取り付きで、図解で整理します。

変位計そのものの全体像(種類・原理・用途・選び方)は、まとめ記事「変位計とは?原理・種類・用途を徹底解説」で解説しています。

この記事の結論(先に要点)

  • リニアスケールは直線の位置・移動量を高精度に測るセンサ(=リニアエンコーダ)。工作機械の各軸に付け、動きの結果を機械にフィードバックします。
  • 検出方式は光学式(高精度)と磁気式(耐環境・低コスト)の2つ。
  • 位置の持ち方でアブソリュート式(絶対位置・原点復帰不要)とインクリメンタル式(相対)に分かれます。
  • 変位計との違いは「自分の位置を測る」か「対象までの距離を測る」か

リニアスケールとは

リニアスケール(リニアエンコーダ)は、直線上の位置や移動量を高精度に検出し、電気信号として出力するセンサです。細かい目盛を刻んだ「スケール(定規)」と、それを読み取る「読取ヘッド」で構成され、ヘッドがスケールに沿って動くことで位置を読み取ります。工作機械では各移動軸に取り付け、ボールねじやモータの動きの「結果」を読み取って機械側へフィードバックし、指令値と実際の位置を一致させます(クローズドループ制御)。これにより高い位置決め精度が得られます。

リニアスケールの仕組み

基本は「目盛の付いたスケール」を「読取ヘッド」がなぞって位置を読む構造です(図1)。光学式なら、ヘッド内のLED光が格子(目盛)を通り、生じる干渉縞(モアレ)を受光素子で捉えます。90度位相のずれた2つの信号から、移動の向きと量を高分解能で読み取ります。

読取ヘッドが移動 読取ヘッド LED 受光 スケール(ガラス格子/磁気目盛)=細かい目盛が刻まれた定規
図1:リニアスケールの構成。目盛を刻んだスケールを読取ヘッドがなぞり、位置を読み取る。

2つの検出方式(光学式/磁気式)

リニアスケールの読み取り方式は、大きく光学式と磁気式の2つに分かれます。

項目光学式磁気式
原理ガラス格子を光で読む(干渉縞)N/S極の着磁を磁気センサで読む
分解能・精度高い(µm〜nm級)µm級(やや控えめ)
耐環境性汚れ・外光に弱め(密閉型で対策)粉塵・油・切削液に強い
コスト高め低め
得意な場面半導体・精密ステージなど高精度用途過酷環境の工作機械

① 光学式:高精度が強み

ガラススケールに刻んだ微細な格子を光で読み取ります。分解能が高く、µm〜nmオーダーの高精度を実現できるのが強みで、半導体製造装置や精密ステージなど高精度が要る用途で使われます。一方、目盛が微細なぶん汚れや外部光の影響を受けやすく、密閉型(クローズド)構造で対策するのが一般的です。

② 磁気式:耐環境性と低コスト

スケールにN極・S極を交互に着磁し、磁気センサで磁界の変化を読み取ります。粉塵や油、切削液のかかる環境でも安定動作し、コストも抑えやすいため、過酷な環境の工作機械に向きます。光学式ほどの超高分解能は得にくいものの、実用十分なµm級の精度が得られます。

アブソリュート式とインクリメンタル式

位置の「持ち方」にも2種類あります。

アブソリュート式(絶対位置)

スケール上の各位置に固有の情報を持たせ、電源を入れた瞬間に絶対位置がわかります。電源を切っても位置を見失わず、原点復帰が不要なため、立ち上げが速く安全性も高いのが利点です。

インクリメンタル式(相対位置)

基準点からの移動量を数えて位置を求めます。構造がシンプルで安価な一方、電源投入時に原点復帰(基準点出し)が必要になります。

リニアスケールと変位計の違い

混同されやすいのが、レーザー変位計などの「変位計」との違いです。ひとことで言うと、測る対象が違います(図2)。リニアスケールは、機械の可動部が「自分が今どこにいるか(位置・移動量)」を測るためのもので、長いスケールと読取ヘッドが相対的に動いて位置を読みます。用途は主に制御のフィードバックです。対して変位計は、離れた「対象物までの距離・変位」を測るもので、寸法・段差・厚みの検査に使います。

リニアスケール 自分(可動部)の位置・移動量 可動部 位置・移動量 変位計 対象物までの距離・変位 変位センサ 投光 対象物(ワーク) 距離
図2:リニアスケールは「自分の位置」を、変位計は「対象までの距離」を測る。

なお、リニアスケールは「直線用のエンコーダ(リニアエンコーダ)」で、回転を測る「ロータリーエンコーダ」の直線版にあたります。

精度と主な用途

精度は方式や機種で幅がありますが、µm(マイクロメートル)オーダーが一般的で、光学式のハイエンドではnm(ナノメートル)台の分解能も実現します。長ストローク型では、最大20m級を0.5µm分解能・直線性±0.01%F.S.程度で測れる製品もあります(いずれも目安)。主な用途は、工作機械(NC旋盤・マシニングセンタ)の各軸位置フィードバック、半導体・液晶製造装置の精密ステージ、三次元測定機など、高精度な位置決めが必要な場面です。

失敗しない選び方:4つの軸

1. 使用環境

粉塵・油・切削液がかかるなら磁気式(またはクローズド構造)、クリーンで超高精度が要るなら光学式が向きます。

2. 必要な精度・分解能

µm級で足りるか、nm級が要るか。高精度側ほど光学式が候補になります。過剰な精度はコスト増につながります。

3. アブソリュートかインクリメンタルか

原点復帰を避けたい・立ち上げを速くしたいならアブソリュート式。シンプルさとコスト重視ならインクリメンタル式。

4. 測定長(ストローク)

測りたい軸の長さに対応するスケール長を選びます。長尺には磁気式・磁歪式も候補になります。

よくある質問(FAQ)

Q. リニアスケールとリニアエンコーダは違いますか?
A. ほぼ同じ意味です。直線上の位置を測るエンコーダを指し、リニアスケールとも呼びます。

Q. リニアスケールと変位計の違いは?
A. リニアスケールは機械の可動部の「位置・移動量」を測り、変位計は「対象物までの距離」を測ります。用途がフィードバック制御と検査で異なります。

Q. 光学式と磁気式、どちらを選べばいいですか?
A. 高精度重視なら光学式、粉塵・油の多い過酷環境なら磁気式が向きます。

Q. アブソリュート式のメリットは?
A. 電源を切っても位置を保持し、原点復帰が不要な点です。立ち上げが速く、安全性も高まります。

Q. どのくらいの精度が出ますか?
A. µmオーダーが一般的で、光学式のハイエンドではnm台も可能です(機種・条件により異なります)。

まとめ

リニアスケール(リニアエンコーダ)は、機械の可動部の位置を高精度に測り、制御へフィードバックする「縁の下の力持ち」です。光学式/磁気式、アブソリュート/インクリメンタルの違いを押さえ、環境・精度・ストロークで選ぶのが失敗しないコツ。変位計とは「位置か距離か」で役割が分かれる点を理解しておくと、機器選定で迷いません。数値は目安のため、最終的には各機種の仕様で確認してください。

出典(一次情報)

  • ミツトヨ|制御用リニヤスケール(リニアエンコーダ) mitutoyo.co.jp
  • コアーテック エンコーダワールド|光学式リニアエンコーダの測定方式 encoder-world.com
  • Metoree|リニアスケール メーカー・原理 metoree.com
  • ekuipp magazine|日本のモノづくりを支えるリニアスケール ekuippmagazine.com

※ 精度・分解能などの数値は一般的な目安であり、実際の仕様は各メーカー・機種のカタログをご確認ください。

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